1つの長寿番組が終わった。テレビ朝日系で放送されていた『フリースタイルダンジョン』だ。2015年頃から放送開始。2020年7月1日の放送をもって、放送が終了した。大々的なお知らせもなく、終了したため「大人気なのに、なぜ」とネット上で話題になった。
同日放送の『Creepy Nutsのオールナイトニッポン0』でのR−指定のコメントも踏まえて、終了の理由を考えてみたい。
おそらく「新型コロナウイルス流行の影響」が大きいが、それを理由とすべきではないいうのが終了理由だと思う。
フリースタイルダンジョンとは
『フリースタイルダンジョン』は火曜深夜に放送されていた「フリースタイルラップバトル」の番組だ。「フリースタイルラップバトル」はHIPHOPのリズムに合わせて2人のMC・ラッパーが交互に相手を即興のディスり合いで勝負するもの。言葉では難しいので、動画でみるとわかりやすい。
You Tubeに多数の動画が上がっていて、再生回数からも人気があることがわかる。
『フリースタイルダンジョン』ではダンジョンを守る「モンスター」とダンジョン制覇を目指す「チャレンジャー」が戦いを繰り広げるチャレンジャーの勝ち抜き式のシステム。有名ラッパーである「モンスター」が「チャレンジャー」を向かい打つ。「モンスター」の中には「ラスボス」がおり、モンスターを4人抜きすると「ラスボス」と対戦することができ、「ラスボス」に勝利するとダンジョン制覇となる。
システムは説明したとおり、非常にシンプルな勝ち抜き戦。シンプル故に弱肉強食でフリースタイルの力が試される。即興で相手をディスり、場を盛り上げる。マイク1本で場を盛り上げる「ラッパー」の力が魅力的でファンも多かった。
コロナの影響で過去放送が増える
フリースタイルバトルはラッパー同士が目の前で相手と即興のラップを繰り返す。それを観客が手を上げて盛り上げる。
飛沫も飛ぶし、ラッパー同士も近い、観客も密集する。新型コロナウイルスへの感染対策で禁止されていることが全て行われている状況と言っても過言ではない。「無観客ライブ」として、ライブの生配信をするミュージッシャンが増えてきたが、フリースタイルバトルでは難しい。
なにより、ラッパー同士が至近距離で自分の思いを吐き出し合っているのに熱量がある。遠慮せずに叫んでいるところが格好いい。それに大勢の観客が呼応して手を挙げる。審査員5人が勝敗を判定するのだが、観客の盛り上がりがそのまま勝敗に直結するケースも少なくない。観客(オーディエンス)はフリースタイルに欠かせない要素だ。自宅で見る分には楽しいが、「現場の盛り上がり」がないと今までのような楽しみはなくなるだろう。
『オールナイトニッポン0』でのRー指定のコメント
同日の『オールナイトニッポン0』で初代モンスターで2代目ラスボスのCreepy NutsのR−指定はフリースタイルの終了について言及している。
2代目ラスボスになってから、1年ほどで番組が終了したことに「三日天下やったわー」。
「5年もできたのが奇跡。番組が始まる時に、HIPHOPのフリースタイルバトルのイメージが壊れないか懸念したが、意見を聞いてくれて余計なテレビ風の演出にならないのが良かった。」などと語り、「フリースタイル」でフリースタイルバトルが市民権を得たことに感謝している様子だった。
ただし、終了理由については述べなかった。
終了の理由はウイルス?逮捕は関係ない?
終了の理由は推測ではあるが、コロナウイルスの影響と言わざるをえない。コロナウイルスの流行語、番組内で新規のフリースタイルバトルは行われておらず、リモート収録やトーク形式の収録、無観客ライブ、過去の傑作選などが放送されていた。述べ3ヶ月くらい、新規の対面でのフリースタイルバトルの収録はなく、ライブハウスでの収録等の見込みも立っていないようであった。
テレビでレギュラー番組である以上、ずっと過去の放送を流している訳にはいかない。「フリースタイルダンジョン」は現場でのラッパー同士の熱が魅力だったのでそれができない。それでは番組の存続は・・・・。
アンダーグラウンドのHIPHOP文化が「ウイルスに負けた」とは言えない。あらゆる大きな力に抗って力をつけてきたHIPHOPが負けたわけはない。だから、番組が終了する理由はないのだ。
ちなみに『フリースタイルダンジョン』のレギュラー出演者で逮捕された人が出たことがあったが、番組終了とは関係ないと思う。
最後に、『フリースタイルダンジョン』の収録がよくライブで行く「新木場STUDIO COAST」でやっていたので、一度行っみたかったなあ。と少し後悔している。