エンタメニュースを考える
Variety,Music,Television,Radio
ラジオ PR

朝井リョウ・高橋みなみ『ヨブンのこと』 生態系を壊すこと

記事内に商品プロモーションを含む場合があります

ニッポン放送系列で放送されていいる朝井リョウ・高橋みなみ『ヨブンのこと』。
2020年7月5日の放送回で語られていたテーマが興味深かった。リスナーのメールから端を発したことなのだが、朝井リョウさんがそのメールを分析して、自身の体験・高橋みなみの体験も踏まえて共感できる話として昇華していたのがすごかった。このラジオの醍醐味という感じがした。

リスナーからのメールで話が始まる。テーマは「家族旅行の思い出」

リスナーが新しい職場に入って壊した生態系

テーマは「家族旅行の思い出」だった。家族旅行に行ったことがないので、泊まり込みでの仕事を始めた時のエピソードを送ってきた女性リスナー。
泊まり込みで入った職場(民宿?)はリスナーより年上の男性たちが多く働く職場で、もともとは多くの男性と1名だけの女性リスナーより10歳以上離れた1名の女性のみで構成されていたそうだ。これが、だいぶ年下の女性リスナーが入ったことで職場の環境が変わってしまったとのこと。
男だらけ+女性1名の職場にさらに女性が1名、しかも若い女性が加わった。男だらけの職場なので、周りからは「甘やかされていた」という女性リスナーだが、もともといたもう1名の女性から罵声を浴びせられたという。

男だらけの職場に1人若い女性が入ることで職場の雰囲気が大きく変わることは想像できる。それを若い女性の視点で、もともといた女性とのやりとりを踏まえた話だった。この話をうけて、朝井リョウが「生態系を壊す」と表現して、自分のエピソードに入っていく。

朝井リョウのバレーボールチーム

朝井リョウは区民体育館などで趣味のバレーボールをするという話をラジオでよくしている。それにかこつけて、外から人間が入ることで「生態系が壊れる」ことがあるという。「リーダー」として、チームを率いている人が外から入ってきた人のレベルによって、地位を壊されることがあるという。スポーツの技術レベルで優劣がつけられてしまうのは残酷だが、外から来る人にもタイプがあるという。

そのリーダーをたてつつプレーをする人、リーダーを完全に打ちのめす人。
外から入ってきた人はわかりやすい優劣があると与える力は虚しいほどに大きい。誰もが経験したことがあると思う。

高橋みなみ、AKB時代のダンスレッスン

高橋みなみも「生態系が壊れる」エピソードを続ける。しかも、変わった視点で。
AKB48時のダンスレッスンの話。AKB48は頻繁にメンバーが変わっていたが、高橋は初期メンバーで全てのダンスフリをわかっている。長いことやっていると途中でダンスの先生が変わることがある。途中から来たダンスの先生は途中加入のAKBメンバーにダンスのふりを教えるために、MVや過去の映像を見て、当時のダンスフリを覚えるという。しかし、初期から踊っている高橋は先生のダンスフリが微妙に違うことに気づくことがあるという。
その時に、初期メンバーとして正しいフリを伝えるか、なんとなくのフリでそのまま続けるか迷うという。

ダンスのフリが違うことを指摘すると先生とAKBメンバーという生態系が壊れてしまうという話。
一気にぶち壊すこともできるし、それとなく指摘することもできるし、全く壊さずにいることもできる。

立場は違えど、誰もが経験したことがあるこのケース
・転校生がイケメン
・1年生に県代表の選手が入ってきた
・1人だけ若い女の子がアルバイトに入ってきた

色んな場面で朝井リョウのいう「生態系が壊されている」ことがわかる。勝手に作られた生態系なんだけれど、それを心地よく受け入れていた人が多いのも事実。「人事が大事」だとか「組織に最適な行動を」などと言われるが、「生態系を壊さない」
1番心に刺さった。